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知ってる単語が聞こえない理由|弱形・脱落の補正法

リスニング

英語を聞いていると、単語自体は知っているはずなのに、なぜか音になると分からない。

そんな経験はありませんか。

単語帳で見れば意味は分かる。

英文を読めば理解できる。

それなのに、会話や音声になると急に聞こえなくなる。

この悩みを持つ人はとても多いです。

そして多くの人が、自分はリスニング力が低い、耳が悪い、語彙力が足りない、と考えてしまいます。

ですが、実際にはそれだけが原因ではありません。

知っている単語が聞こえない大きな理由は、英語の音が文字どおりに発音されないからです。

特に重要なのが、弱形と脱落です。

英語では、文の中で弱くなる音、短くなる音、消える音が頻繁に起こります。

私たちは単語を辞書の形で覚えやすい一方で、実際の会話で崩れた音には慣れていません。

その結果、知っている単語なのに、耳では別の音に聞こえてしまうのです。

この記事では、

  • なぜ知っている単語が聞こえないのか
  • 弱形と脱落がどう聞き取りを邪魔するのか
  • 聞こえる耳に変えるための具体的な補正法
  • やっても伸びない人の共通ミス
  • 今日から回せる1週間の実践メニュー

を、初心者にも分かるように体系的に解説します。

知識として理解するだけでなく、実際に改善へつなげる内容にしているので、リスニングでずっと同じ壁にぶつかっている人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

知っている単語なのに聞こえない本当の理由

知っている単語が聞こえないのは、単語を知らないからではなく、知っている音と実際の音がズレているからです。

ここを最初に理解しておくことが重要です。

たとえば多くの学習者は、単語を次のように覚えています。

  • to は トゥー
  • for は フォー
  • and は アンド
  • of は オブ

しかし実際の英会話では、こうは聞こえないことが多いです。

文の中に入ると、

  • to は タ や トゥ
  • for は ファ や ファー
  • and は アン ではなく ン や エン に近い
  • of は オブ ではなく アヴ に近い

というように、かなり崩れます。

つまり、頭の中で探している音が最初から間違っているのです。

この状態で一生懸命聞いても、見つからないのは当然です。

さらに英語は、単語単体よりも文の流れの中で音が変化します。

日本語学習では、文字と音のズレが比較的小さいため、見た単語と聞こえる単語が一致しやすいです。

一方で英語は、スペルと発音のズレに加えて、文の中での弱化や脱落が起こります。

そのため、知識としては知っているのに、耳では別物に感じてしまいます。

知っている単語が聞こえない主な理由は、次の4つです。

  • 辞書の発音で覚えていて、会話の音変化を想定していない
  • 内容語ばかりに意識が向き、機能語を聞く習慣がない
  • 音のかたまりで処理できず、1語ずつ探してしまう
  • 文字情報に頼りすぎて、耳で補正する力が育っていない

ここで大事なのは、聞こえない自分を責めないことです。

多くの場合、努力不足ではありません。

前提知識と練習法がズレているだけです。

弱形とは何か|単語が弱く短くなる仕組み

ここでは、まず弱形を整理します。

弱形とは、単語が文の中で弱く、短く、あいまいに発音される形のことです。

特に、to、for、of、and、can、was、have などの機能語で頻繁に起こります。

機能語とは、文の骨組みを支える語です。

意味の中心になる内容語よりも強く読まれにくく、会話では軽く流されることが多いです。

たとえば次のような変化があります。

  • I want to go. の to は はっきりした トゥー ではなく、タ に近くなる
  • A cup of tea. の of は オブ ではなく、アヴ に近くなる
  • Fish and chips. の and は アンド ではなく、ン や エン に近くなる
  • I can do it. の can は キャン ではなく、クン に近く弱まることがある

この弱形を知らないと、学習者は常に強い音を探してしまいます。

でも、会話の英語では、強い音はそこまで頻繁には出てきません。

特に、文の中で目立たない語ほど弱くなります。

だから、英語を聞き取るには、はっきりした音を拾う能力だけでなく、崩れた音を補正する力が必要なのです。

なぜ弱形が起こるのか

弱形は、英語がリズムを重視する言語だから起こります。

英語は、意味の中心になる語を強く発音し、それ以外を軽く流す傾向があります。

そのため、すべての単語を均等にはっきり発音しません。

日本語話者は、1音1音を比較的そろえて発音する感覚があるため、英語のこの強弱差に慣れていないことが多いです。

その結果、弱い部分がごっそり聞こえなくなります。

弱形を知らないと何が起こるか

弱形を知らないと、聞き取りで次のような問題が起こります。

  • 知っている単語を別の単語だと勘違いする
  • 短い語が抜け落ちて意味がつながらない
  • 聞き返しても毎回同じ箇所でつまずく
  • シャドーイングしても、実際の音に合わせられない

つまり弱形は、リスニングだけの問題ではありません。

スピーキングやシャドーイングの質にも直結します。

脱落とは何か|あるはずの音が消える仕組み

次に脱落です。

脱落とは、本来あるはずの音が発音の流れの中で消える現象です。

英語では、隣り合う音との兼ね合いで、子音が落ちたり、はっきり発音されなくなったりします。

たとえば、次のようなものがあります。

  • next day が ネクストデイ ではなく、ネクスデイ に近くなる
  • want to が ワントゥー ではなく、ワナ に近くなる
  • friendship が フレンドシップ ではなく、フレンシップ に近くなる
  • old man が オールドマン ではなく、オウルドマンに近い流れで子音があいまいになることがある

学習者がつまずきやすいのは、文字を基準に音を期待してしまう点です。

スペル上そこにあるのだから、音も全部聞こえるはずだ、と思ってしまいます。

でも実際の会話では、全部を丁寧に言わないことがよくあります。

脱落は手抜きではありません。

発音を楽にし、自然なリズムで話すための現象です。

つまり、ネイティブが普通に話せば話すほど、学習者には音が減って聞こえやすくなるのです。

脱落が起こる代表的な場面

脱落は、特に次のような場面で起こりやすいです。

  • 子音が連続するとき
  • 同じ口の動きが続くとき
  • 速い会話で流れを優先するとき
  • 前後の音に引っぱられて中央の音が消えるとき

この仕組みを理解するだけでも、リスニングの感じ方はかなり変わります。

聞こえないのではなく、変化している。

この認識に変わるだけで、無力感はかなり減ります。

知っている単語が消える典型パターン

ここでは、実際にどんなときに知っている単語が聞こえなくなるのか、典型パターンを整理します。

1. 機能語が弱すぎて聞こえない

もっとも多いのがこれです。

主語、動詞、名詞のような強い語は拾えても、to、of、for、and、can、have などが消えます。

この結果、意味のつながりが分からなくなります。

たとえば、I have to go. で have to が弱く崩れると、go だけ聞こえて、文全体の意味がぼやけます。

2. 知っている音ではなく別の音に変わっている

want to を ワントゥー で記憶している人は、ワナ と聞こえると別物に感じます。

going to も同じです。

ゴーイングトゥー を探していると、ガナ のような音に対応できません。

知識はあるのに、検索キーワードが違う状態です。

3. 子音の脱落で単語の輪郭が消える

next day や just one のように子音が続く表現は、綴りどおりに聞こえません。

学習者は文字の情報に引っぱられて、聞こえた音を不正解だと思ってしまうことがあります。

でも実際には、その崩れた音こそが自然な英語です。

4. 単語単位で探していて、かたまりで聞けていない

英語は1語ずつ区切っては聞こえてきません。

意味のかたまり、音のかたまりで流れてきます。

ここに弱形や脱落が重なると、1語検索型の聞き方では処理が追いつきません。

だから、聞き取るには、文全体の流れの中で補正する力が必要です。

弱形・脱落を補正する具体的トレーニング

ここからが実践です。

知識だけでは聞こえるようになりません。

耳と口の両方で、崩れた音に慣れていく必要があります。

1. まずは機能語だけを意識して聞く

多くの学習者は内容語ばかり拾おうとします。

ですが、弱形対策では逆です。

むしろ、to、of、for、and、can、have など、軽く飛ばされがちな語に意識を向けます。

おすすめは、短い英文を見ながら機能語に印をつけることです。

そして音声を聞き、どこが弱くなっているかを確認します。

この練習をすると、今まで聞こえていなかった部分の存在に気づけるようになります。

2. 0.8倍速で崩れ方を確認する

最初から通常速度で聞き取ろうとすると、音変化が速すぎて認識できません。

そこで一度、再生速度を0.8倍ほどに落とします。

目的は、聞き取ることではなく、どこで弱形や脱落が起きているかを観察することです。

ここで大切なのは、なんとなく聞き流さないことです。

  • どの単語が短くなったか
  • どの音が消えたか
  • 自分が予想していた音と何が違ったか

を言語化します。

この観察が甘いと、何度聞いても改善しません。

3. 音変化込みで音読する

弱形や脱落は、耳で知るだけでは不十分です。

実際に口で再現することで、音の形が身体に入ります。

たとえば、want to を毎回ワントゥーと読んでいると、いつまでもワナ系の音に反応しにくいままです。

音読では、実際に聞こえた音に寄せて発音することが大切です。

これは雑に崩して読むことではありません。

自然な音の流れをコピーする意識です。

4. ディクテーションで聞こえない箇所を特定する

聞きっぱなしでは、何が聞こえていないかが曖昧なままです。

短い英文でよいので、書き取ってみると、自分の弱点がはっきりします。

特に、

  • 機能語が落ちているのか
  • 子音が抜けているのか
  • 音の連結で別の語に聞こえているのか

が見えるようになります。

ディクテーションは負荷が高いですが、弱点発見には非常に有効です。

5. シャドーイングは意味確認後に行う

シャドーイングは効果的ですが、意味も音変化も分からないままやると、ただ遅れて追いかけるだけになりやすいです。

先にスクリプトを確認し、弱形と脱落の箇所を把握してから行うと、吸収率が上がります。

特に最初は、完全な同時再現を目指しすぎなくて大丈夫です。

音の流れを捉えて、崩れた形で再現できるかに意識を置くほうが伸びます。

6. 1つの音源を深く仕上げる

聞こえないからといって、次々に新しい音源へ移る人は多いです。

ですが、弱形と脱落の補正では、1つの短い音源を深く仕上げるほうが効果的です。

浅くたくさん聞くより、短くてもいいので、

  • 意味が分かる
  • 弱形が分かる
  • 脱落が分かる
  • 自分で再現できる

まで持っていくほうが、耳の変化につながります。

やっても伸びない人の共通ミス

ここはかなり重要です。

多くの人は努力しているのに、やり方のズレで伸び悩みます。

1. ただ回数だけ増やしている

何回も聞いているのに聞こえない。

この場合、回数不足ではなく観察不足のことが多いです。

どこが弱形で、どこが脱落しているかを見ないまま回数だけ重ねても、補正は起きにくいです。

2. 強い発音だけで覚え続けている

単語を常に辞書の形でしか記憶していないと、会話音声との差が埋まりません。

覚えるときから、文の中ではどう崩れるかも意識することが大切です。

3. スクリプトを見て安心して終わる

答えを見て、なるほどと思って終わる人も多いです。

ですが、見るだけでは耳は変わりません。

実際に、どの音がどう変わって聞こえるのかを口で再現してはじめて、聞き取りに反映されます。

4. 意味理解と音の理解を混同している

英文の意味が分かったから、聞き取れた気になることがあります。

でも、意味が分かることと、音が聞き取れることは別です。

音が崩れても拾えるかどうかが、リスニングでは重要です。

5. 完璧に聞き取ろうとしすぎる

英語は、全音を1つ残らず明瞭に聞くものではありません。

現実には、強い部分と弱い部分を組み合わせて、脳内で補正しながら理解しています。

だから、最初から100パーセントを求めすぎると苦しくなります。

まずは、今まで消えていた部分に気づけるようになることを目標にすると前進しやすいです。

今日からできる1週間の実践メニュー

ここでは、弱形と脱落の補正に絞った1週間メニューを紹介します。

1日15〜20分でも十分です。

大事なのは、毎日同じ観点で耳を育てることです。

1日目|弱形の存在を知る

短い英文を用意し、to、for、of、and、can、have などの機能語に印をつけます。

そのうえで音声を聞き、どの語がどれくらい弱くなっているかを確認します。

この日は、聞き取るより気づくことが目標です。

2日目|0.8倍速で崩れ方を観察する

昨日と同じ音源を0.8倍速で聞きます。

どの音が短くなっているか、どこで脱落しているかをノートに書き出します。

なんとなく分かったで終わらせず、変化を見える化します。

3日目|音変化込みで音読する

聞こえた形に寄せて音読します。

強く読むのではなく、軽く流れる部分は軽く読む意識です。

この日から、耳と口をつなげていきます。

4日目|短文ディクテーションをする

1〜2文でいいので書き取りを行います。

自分が落としやすい語を発見することが目的です。

正解率より、抜け方の傾向を把握してください。

5日目|通常速度で聞いて機能語を拾う

今日は内容語よりも、弱くなる語を拾う練習です。

to があるか、of があるか、and がどう聞こえるか、といった観点で聞きます。

聞くポイントを変えるだけで、音声の見え方が変わります。

6日目|シャドーイングで再現する

意味と音変化を確認したうえで、短くシャドーイングします。

完璧に重ねようとするより、弱形と脱落の形を再現できるかを意識します。

7日目|録音して聞き比べる

自分の音読やシャドーイングを録音し、元音声と比べます。

ここで、

  • 機能語を強く読みすぎていないか
  • 本来消える音を全部読んでいないか
  • 流れが止まっていないか

を確認します。

録音すると、自分のクセが非常によく分かります。

よくある質問

ここまで読んで、疑問に感じやすい点をまとめます。

Q. 単語をもっと覚えれば聞こえるようになりますか。

語彙力は大切です。

ただし、知っている単語が聞こえない問題に関しては、語彙だけ増やしても解決しないことが多いです。

音の崩れ方を知らないままだと、知識と音がつながりません。

Q. 弱形や脱落は発音の細かい話で、初心者にはまだ早いですか。

むしろ初心者ほど早く知っておいたほうが有利です。

最初から会話の音が変化する前提で学ぶと、変に遠回りしにくくなります。

Q. シャドーイングだけ続ければ改善しますか。

シャドーイングは有効ですが、弱形や脱落を理解せずに行うと、表面的な反復になりやすいです。

観察、確認、再現の3段階を意識すると、効果が高まります。

Q. どのくらいで変化を感じますか。

個人差はありますが、毎日10〜20分でも、1〜2週間で 今まで聞こえなかった部分に気づける 感覚は出やすいです。

最初の変化は、全部分かることではなく、消えていた音の存在に気づけることです。

まとめ

知ってる単語が聞こえないのは、英語力がないからではありません。

多くの場合、文字で覚えた単語の音と、実際の会話で崩れた音が一致していないことが原因です。

特に重要なのが、弱形と脱落です。

英語では、文の中で弱くなる音、短くなる音、消える音が当たり前のように起こります。

その仕組みを知らないと、知っている単語でも別の音に聞こえてしまいます。

逆に言えば、ここを理解して補正できるようになると、リスニングは大きく変わります。

改善のポイントは、

  • 強い発音だけを基準にしない
  • 機能語に意識を向ける
  • 0.8倍速で崩れ方を観察する
  • 音変化込みで音読する
  • 1つの音源を深く仕上げる

この5つです。

知っている単語が聞こえないという悩みは、とても苦しいものです。

自分は向いていないのではないか、と感じることもあると思います。

でも実際には、耳の才能の問題ではなく、英語の音のルールに慣れていないだけのことが多いです。

だからこそ、正しい観点で練習すれば、ちゃんと変わっていきます。

まずは今日、to、of、for、and のような小さな語に意識を向けてみてください。

今まで消えていた音が見え始めたとき、リスニングは確実に前に進みます。