Onedayblog Written by TAO

固有名詞が聞けない問題|カタカナ脳を外す練習3つ

リスニング

英語を聞いていると、文の大意は分かるのに、

人名・地名・会社名・店名だけが抜ける。

会話全体はなんとなく追えているのに、肝心の固有名詞だけ曖昧で、何の話だったのか分からなくなる。

この悩みは、リスニング学習者にかなり多いです。

しかも厄介なのは、単語帳を増やしても、英文法を勉強しても、思ったほど解決しないことです。

なぜなら、固有名詞が聞けない問題の本質は、知識不足よりも 音の受け取り方 にあるからです。

特に日本語話者は、英語の音を無意識にカタカナへ変換して聞いてしまいやすい傾向があります。

この状態のままでは、一般語彙は前後の文脈で補えても、固有名詞は補えません。

結果として、聞き取れなかった一語が、そのまま理解の穴になります。

この記事では、

  • なぜ固有名詞だけ聞き取れないのか
  • カタカナ脳がどう邪魔しているのか
  • 聞き取れる耳に変えていく練習3つ
  • やっても伸びない人の共通ミス
  • 今日から回せる1週間の実践メニュー

まで、体系的に解説します。

固有名詞が苦手な人ほど、闇雲に量を増やす前に、まずは聞き方のズレを直すことが大切です。

目次

固有名詞だけ聞けないのはなぜか

まず最初に知っておきたいのは、固有名詞が聞き取れないのは珍しいことではない、という点です。

むしろ、英語の基礎が少しずつ分かってきた人ほど、この壁にぶつかります。

その理由は、固有名詞には一般語彙とは違う難しさがあるからです。

1. 文脈補完が効きにくい

一般語彙は、多少聞き逃しても前後の意味から推測できます。

たとえば、

I went to the station after work.

の station が少し曖昧でも、話の流れから駅のことだと推測しやすいです。

一方で、

I met Daniel in Seattle.

の Daniel や Seattle は、聞き逃した瞬間に情報が抜けます。

人名なのか、地名なのか、会社名なのかも曖昧になりやすく、意味の穴がそのまま残ります。

2. 日本語で覚えている音と実際の英語音がズレやすい

固有名詞は、日本語で先に覚えてしまっていることが多いです。

たとえば、

  • Los Angeles
  • Chicago
  • McDonald’s
  • YouTube
  • Jennifer

これらは、すでに日本語のカタカナ表記で頭に入っている人が多いはずです。

しかし、英語で実際に発音されると、日本語で知っている音とはかなり違って聞こえます。

このズレが大きいほど、聞き取れなかった感覚になります。

3. 音の崩れが大きい

固有名詞は、短くても音の変化が大きいことがあります。

特に会話では、

  • 強く読む部分と弱く読む部分の差が大きい
  • 音がつながる
  • 母音が弱くなる
  • 語尾が落ちる
  • 話者によって発音差が出やすい

という特徴があります。

学校英語やカタカナ表記を基準にしていると、別の単語に聞こえてしまうことも珍しくありません。

カタカナ脳とは何か

ここでいうカタカナ脳とは、英語の音をそのまま受け取らず、日本語の音へ無意識に変換して処理する癖のことです。

この癖があると、耳に入ってきた音を、脳内でこう処理してしまいます。

英語の音 → 日本語っぽい音へ変換 → 既知のカタカナ語と照合

一見すると分かりやすい方法に見えますが、実はこれが固有名詞に弱い大きな原因です。

なぜなら、英語の固有名詞は、日本語にするとかなり形が変わるからです。

たとえば、McDonald’s は日本語ではマクドナルドとして定着していますが、英語音声ではそのままの形では聞こえません。

Canada もカナダとして覚えていると、英語音声とのズレに戸惑いやすくなります。

つまり、固有名詞が聞こえないのは耳が悪いからではなく、比較している基準音がズレているのです。

ここを直さないまま、ただ量を増やしても、いつまでも 同じところで聞き取れない を繰り返しやすくなります。

まず切り分けたい3つの原因

練習に入る前に、自分がどこでつまずいているのかを切り分けておくと改善が早くなります。

固有名詞が聞けない原因は、主に次の3タイプに分かれます。

ここを先に知っておくと、的外れな練習を減らせます。

原因① そもそも音を拾えていない

音の流れが速く、どこからどこまでが一語なのか分からない状態です。

このタイプは、聞いた直後に何も残りません。

人名か地名かの見当すら立たないことが多いです。

必要なのは、聞こえた音をそのまま捕まえる練習です。

原因② 音は拾えているが、カタカナ変換でズレる

なんとなく聞こえてはいるものの、日本語で知っている形と一致しないため認識できない状態です。

たとえば、聞いた音は覚えているのに、答え合わせを見て それだったのか となる人はこのタイプです。

必要なのは、日本語化せずに音を保持する練習です。

原因③ 音を短期記憶に保持できない

聞いた瞬間にはなんとなく追えても、そのあとすぐ消えてしまうタイプです。

会話が先へ進んだ瞬間に、さっきの固有名詞が抜け落ちます。

このタイプは、音の保持と再現の練習が有効です。

練習① 音のまま写すトレーニング

最初の練習は、固有名詞を 意味ではなく音として捕まえる トレーニングです。

ここでは正解することより、音を日本語に変換せず、そのまま写す感覚を作ることが目的です。

固有名詞が苦手な人ほど、この土台が弱いまま先に進みやすいので、最初にしっかりやる価値があります。

やり方

  • ニュース、インタビュー、会話音声などを30秒〜1分用意する
  • 固有名詞が出てきそうな箇所を聞く
  • 聞こえた音をアルファベット風、または自分なりの記号でメモする
  • まだスペルや正解は見ない
  • 2〜3回聞いて、音の輪郭を少しずつ修正する
  • 最後に答え合わせをして差を確認する

ここで重要なのは、最初から正しい綴りを書こうとしないことです。

たとえば、Jennifer が聞き取れなかったときに、ジェニファーと書いて終わるのではなく、聞こえたままに近い形で残します。

この練習の目的は、カタカナ語への逃げ道を塞いで、耳で拾った情報をそのまま扱うことです。

この練習が効く理由

固有名詞が聞けない人は、音を受け取った直後に、日本語に置き換えようとしてしまいます。

しかしその変換の瞬間に、実際の音とのズレが生まれます。

音のまま写す練習をすると、

  • 音の切れ目が分かる
  • 強く聞こえる部分が分かる
  • 語尾が消えていることに気づける
  • カタカナと実音の差に敏感になる

という変化が起こります。

これが、カタカナ脳を外す最初の一歩です。

おすすめのコツ

  • いきなり長文でやらない
  • 1回につき3〜5個の固有名詞で十分
  • 必ず答え合わせでズレを確認する
  • できれば同じ素材を翌日もう一度やる

一度聞いただけで終わると、ただの答え確認で終わります。

ズレを自覚して、翌日にもう一度聞くことで、耳の基準が更新されやすくなります。

練習② スペルを見ずに音を保持する

2つ目の練習は、聞いた固有名詞を短時間でも頭の中に残し、再現できるようにすることです。

固有名詞が抜ける人は、聞こえないだけでなく、聞こえた音を保持できないことも多いです。

この練習は、リスニングで一瞬入った音を流さずに掴む力を育てます。

やり方

  • 固有名詞が含まれる短い音声を聞く
  • 聞いたらすぐ一時停止する
  • スペルは見ず、聞こえた音を頭の中で3秒キープする
  • そのあと自分の口で再現する
  • 必要なら録音して聞き返す
  • 最後に正解を見て修正する

ポイントは、聞いてすぐ正解を見るのではなく、いったん脳内で保持することです。

この保持が弱いと、会話中に出てきた固有名詞をすぐ忘れてしまいます。

この練習が効く理由

英語の会話では、固有名詞を聞き取ったあとにも情報が流れ続けます。

そのため、音を一瞬つかめても、すぐ消えると理解につながりません。

保持する練習を入れることで、

  • 一語を音の塊として覚えられる
  • カタカナ変換より先に音が残る
  • 会話の流れの中でも情報を落としにくくなる

という変化が起きます。

特に、聞いたときは分かった気がするのに、後から思い出せない人には効果的です。

うまくいかない時の調整法

もし難しければ、いきなり完全再現を目指さなくて大丈夫です。

次の順番で難易度を下げると続けやすくなります。

  • まずは強く聞こえた部分だけ言う
  • 次に語頭と語尾を意識する
  • 最後に全体をつなげる

最初から完璧を狙うより、残った部分を少しずつ増やす方が、実戦で使える力になります。

練習③ 固有名詞だけ拾うシャドーイング

3つ目は、文章全体を完璧に追わず、固有名詞だけを狙って拾うシャドーイングです。

通常のシャドーイングは負荷が高く、初心者〜中級者では全文を追うだけで余裕がなくなりがちです。

その状態で固有名詞まで正確に拾おうとすると、ほぼ確実に崩れます。

だからこそ、対象を絞ります。

やり方

  • 会話音声やニュース音声を用意する
  • 最初は全文を追わず、固有名詞が出たところだけ反応する
  • 聞こえたら1秒ほど遅れて口に出す
  • 無理に同時再現しない
  • 慣れたら、その前後の短いフレーズも一緒に追う

たとえば、

I met Daniel in Seattle last year.

なら、最初は Daniel と Seattle だけでも構いません。

そこから少しずつ I met Daniel、in Seattle last year のように広げていきます。

なぜ1秒遅れがいいのか

固有名詞が苦手な人ほど、同時に追おうとして崩れます。

同時処理は、

聞く
理解する
保持する
発音する

を一気にやる必要があるため、負荷が高すぎるからです。

少し遅らせると、音を一度つかんでから再現できるため、精度が上がります。

固有名詞は速度より、まず正確性が大事です。

ここを雑にすると、何回やっても定着しません。

この練習が向いている人

  • 全文シャドーイングだとすぐ崩れる人
  • 固有名詞だけ毎回抜ける人
  • 聞いて終わりで、再現できない人
  • 音声の後半になるほど理解が曖昧になる人

固有名詞だけ拾う練習は、リスニングと発音の橋渡しになります。

聞こえるだけでなく、自分で言えるようになると、認識の精度が一気に上がります。

頑張っても伸びない人の共通ミス

ここまで練習法を紹介しましたが、やり方を少し間違えるだけで効果は大きく落ちます。

固有名詞対策で伸び悩む人には、かなり共通したパターンがあります。

先に知っておくと、遠回りを防げます。

ミス① カタカナでメモして終わる

これは一番多いです。

聞こえた音を日本語でメモすると、その時点でカタカナ脳が強化されます。

もちろん補助的に使うのは構いませんが、毎回それだけだと、英語音を英語音として扱う回路が育ちません。

ミス② 答えを見て納得して終わる

答え合わせをして、なるほどこれか、で終わる人も多いです。

しかし大事なのは、その後です。

どこがどうズレたのか。

自分は語頭を落としたのか。

強勢位置を誤解したのか。

語尾が消えて聞こえたのか。

この分析までやらないと、次回に活きません。

ミス③ 全文を追いすぎる

固有名詞が苦手なのに、最初から全文シャドーイングで鍛えようとすると、負荷が高すぎて狙いがぼやけます。

その結果、ただ苦しいだけで、肝心の固有名詞は毎回流れていきます。

まずは対象を絞ることが大切です。

ミス④ 素材が難しすぎる

映画、ネイティブ同士の雑談、スピードの速いニュースなど、難しすぎる素材から始めると、固有名詞以前に全体が処理できません。

練習素材は、

  • 短い
  • 音が比較的クリア
  • スクリプト確認ができる
  • 固有名詞が適度に出てくる

この条件で選ぶと成功率が上がります。

ミス⑤ 量だけ増やして復習しない

毎日違う音源を次々こなしても、耳の基準は思ったほど更新されません。

特に固有名詞は、同じ素材を少し置いて聞き直すことで、以前聞こえなかった音が見えてきます。

1回で捨てるより、2〜3回使い回した方が効果的です。

1週間で回せる実践メニュー

ここまで読んでも、実際にどう進めればいいのか迷う人は多いはずです。

そこで、固有名詞が苦手な人向けに、無理なく続けやすい1週間メニューを作りました。

1日10〜15分でも十分です。

大事なのは、量より狙いを明確にすることです。

1日目 音のまま写す

  • 30秒〜1分の短い音声を用意する
  • 固有名詞らしき部分を3〜5個拾う
  • カタカナを使わずにメモする
  • 答え合わせでズレを確認する

この日は、正解率より音の輪郭をつかむことを優先します。

2日目 保持して再現する

  • 前日と同じ素材でもよい
  • 固有名詞を聞いたら一時停止する
  • 3秒頭の中で保持する
  • 口に出して再現する

聞こえた瞬間に流さない感覚を育てます。

3日目 固有名詞だけシャドーイング

  • 全文は追わない
  • 人名、地名、会社名だけ拾う
  • 少し遅れて発音する

この日は精度重視です。

速さは求めません。

4日目 前後のフレーズもつける

  • 固有名詞の直前直後だけ一緒に言う
  • 語感の流れの中で捉える
  • 単語単体ではなく短い塊にする

たとえば in Seattle、from Canada、with Jennifer のような形で練習します。

5日目 別素材で再挑戦

  • 似た難易度の別音源を使う
  • 同じ3練習を短く回す
  • 前回よりカタカナ変換が減ったか確認する

ここで初めて転用できるかを見ます。

6日目 復習日

  • 1〜5日目で使った素材を聞き返す
  • 以前より認識しやすくなった音を確認する
  • 苦手な型をメモする

復習を入れると、成長実感が出やすくなります。

7日目 実戦確認

  • 少し長めの音源を聞く
  • 固有名詞が出たら印をつける
  • どのくらい拾えたか確認する

完璧に取れなくても大丈夫です。

大切なのは、以前より 音のまま聞こうとする姿勢 ができているかです。

よくある質問

ここでは、固有名詞の聞き取りでつまずきやすい疑問をまとめます。

本文で触れた内容と重なる部分もありますが、実践時に迷いやすいところなので先回りして整理しておきます。

Q. 固有名詞は覚えるしかないですか?

覚えるだけでは不十分です。

もちろん頻出の人名や地名に慣れることは役立ちます。

ただし、覚えていても英語音とのズレが大きいと聞き取れません。

必要なのは、知識と音の一致です。

Q. カタカナで知っている単語ほど聞き取れないのはなぜですか?

すでに日本語の形が強く頭に入っているためです。

脳がその音を基準にしてしまうと、実際の英語音と一致しない時に別物として処理されやすくなります。

知っているはずなのに聞こえない、はこのズレで起きます。

Q. ディクテーションと何が違いますか?

ディクテーションは全体の聞き取り精度を上げるのに有効です。

一方で、今回の練習は固有名詞に対象を絞り、カタカナ変換を減らすことに重点があります。

全文を書き取るより、まず固有名詞だけ狙って練習する方が改善しやすい人も多いです。

Q. どのくらいで改善しますか?

個人差はありますが、練習の質が合っていれば、1〜2週間でも 音の拾い方が変わった 感覚は出やすいです。

ただし、聞き取れるようになるまでには、復習と反復が必要です。

毎日少しでも、同じ狙いで続けることが大切です。

まとめ

固有名詞が聞き取れない問題は、単なる語彙不足ではありません。

大きな原因は、英語の音を日本語のカタカナへ変換して処理してしまうことです。

このカタカナ脳が残っていると、一般語彙は文脈で補えても、固有名詞は補えません。

だからこそ、対策は量より方向性が重要です。

今回紹介した練習は次の3つです。

  • 音のまま写すトレーニング
  • スペルを見ずに音を保持して再現する
  • 固有名詞だけ拾うシャドーイング

そして、伸びない人ほど、

  • カタカナでメモして終わる
  • 答えを見て納得して終わる
  • 全文を追いすぎる
  • 難しすぎる素材を使う

という落とし穴にはまりやすいです。

固有名詞の聞き取りは、耳の才能ではなく、音の扱い方で変わります。

日本語を通さず、英語の音をそのまま受け取る回路を少しずつ育てていけば、人名や地名が抜ける回数は確実に減っていきます。

聞こえないから苦手なのではありません。

聞き方の基準がまだ日本語寄りなだけです。

今日からは、意味を追う前に、まず音をそのまま捕まえる練習を始めてみてください。

固有名詞の聞き取りは、そこから一気に変わっていきます。